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『オフシーズン』表紙(初版)

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『オフシーズン』帯-表面(初版)

『オフシーズン』帯-表面(初版)

『オフシーズン』原書(Ballantine Books版/1980)表紙

『オフシーズン』原書(Ballantine Books版/1980)表紙

オフシーズン

Off Season,1980

作:ジャック・ケッチャム(金子 浩訳)

Written by Jack Ketchum

長編

扶桑社(扶桑社ミステリー文庫)/本体629円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:2000年9月30日/総324ページ(42w×18L)

食人鬼の子らがオフシーズンの別荘を地獄に変える
リミッターの切れた描写が凄いカンニバル・ホラー

 真っ暗な夜道で泣いている少女。不審に思って車を止めたモーリーンに子供たちの集団が襲いかかる。ついに崖まで追い詰められ、逃げ道を絶たれたモーリーンは夜の海に向かってダイブする…。
 メイン州デッドリヴァーの沖合にあるキャットバード島では、何人もの釣り人が行方不明になっていた。潮に流されたのだろうと警察は考えていたが、そうではなかった。キャットバード島には破棄された灯台があり、かつて灯台守をしていた一族の末裔が飢えをしのぐために人肉食の習慣を身につけていたのだ。連綿と続く近親相姦で誕生した若者や子供たちからなる食人一族は本土に渡り、運の悪い人々を狩っては、ねぐらの洞窟で晩餐に饗していたのだった。
 閑散としたオフシーズンの貸し別荘で休暇を過ごすため、都会からやってきた6人の男女。その夜、食人族の子供たちの襲撃を受け、一人また一人と餌食になっていく。一方瀕死のモーリーンを発見した地元警察は捜査を開始するのだが…。

 不思議なんだけど、再読するたびに胸くその悪さが倍増しているように感じる。たくさんのホラー小説を読み、ホラー映画を観て、”作り物の恐怖”に対する経験の上積みはあるはずだけど、読んでいる最中は胃がズシンと重い。ヒーロー然の人物が無慈悲に誤殺されるラストは、NOTLDの影響だとケッチャム自身あとがきで認めているけど、後味の悪さは遙かに上だ。
 食人描写もさることながらケッチャム作品の共通点の1つである「生殺与奪を敵に握られる」というマゾヒズム的恐怖は圧倒的で、息苦しさを覚える。あとですね、読み終わった後、蟹を食べるときにイヤな気分になる。

【サイト登録日】2013年6月7日 【ジャンル】子供 バッドシード 人喰い カニバリズム 田舎

▽メモ1初めて読む人は序文を読み飛ばそう!

ナイト・フライヤー』などのホラーアンソロジー編纂でおなじみの評論家ダグラス・E・ウィンターが序文を寄せています。これがネタバレ満載なので、後回しにすることをオススメします。

▽メモ2日本語版は無添削版

 日本語版ですが、ダグラス・E・ウィンターの序文、ケッチャム自身のあとがきを添えて1999年に復刊されたものを底本としています。この復刊では残虐描写が無添削で、ケッチャムの意図に近いものに仕上がっています。
 本作の初版はBallantine Books社(1980)から残虐描写を大幅に添削・リライトした上でペーパーバックとして発売されました。それでも批判的な意見が相次ぎ、早々に絶版となってしまいました。
 添削から絶版にいたるまでの紆余曲折は、ケッチャムがあとがきで述べており、たいへん興味深いです。同じくあとがきにて「オリジナル原稿はごみ箱へ放りこんだ(P310)」と述べており、現存していないようです。より過激なシチュエーションが用意されていたようで…。

▽メモ3初刊年度がバラバラ?

 ケッチャム公式サイトの本作初刊は1980年となっています。一方で風間賢二の巻末解説では1981年となっています。1年の違いがどこから生じたのか、よくわからないです。

▽メモ4登場人物の末路(登場順)

【誘拐された少女】……檻に囚われた少年と一緒に誘拐されたと思われる。作中ではすでに殺害されており、人肉料理の材料として登場。

【ミセス・モーリーン・ワインスタイン】……たまたま通りかかった女性。道ばたで泣いている少女を見かけて車を止めたところ、子供たちに襲われ、崖から海へダイブ。運良く発見されて病院に搬送されるが、蟹に脚をついばまれており、両足切断が濃厚。

【ジム】……カーラーの恋人で俳優。カーラーとセックスしているときに喉を切り裂かれて死亡。

【カーラー】……ニューヨーク在住の編集者。逆さ吊りで股間から胸までナイフで切り開かれて絶命。死体はその場で丸焼きにされる。

【食人少年その1】……ニックの.44マグナム弾で胸を撃ち抜かれる。

【食人少年その2】……ダンが灼熱した火かき棒で後頭部を殴りつける。

【食人少女その1】……ニックの太股を刺すが、マグナム弾で頭部四散。

【食人少年その3】……ダンの火かき棒で頭部を打ち砕かれる。

【ダン】……マージーの恋人で塗装業者。最初の脱出時、背後から女に首を噛みつかれ、右膝の腱を切られて動けなくなる。死を乞うダンの哀願を感じたマージーがマグナムを発砲、しがみつく女ともども撃ち抜かれる。

【食人女その1】……ダンの首筋に深く歯を立てる。マージーが撃ったマグナム弾でダンと共に撃ち抜かれて死亡。

【食人少年その4】……屋根裏へ逃げ込もうとしたマージーに襲いかかるが、ニックが奮った鎌で首を切断される。

【ローラ】……ニックの恋人。LAにあるレコード会社の宣伝部勤務。一族の洞窟に連れてこられ、痩せた食人男に拷問される。両手両足を切断され、舌を切り取られ、身体中を刺されて死亡。

【赤シャツ食人男】……一族のリーダーで成人男性。洞窟に帰り着いたとき、背後から迫るニックのマグナム弾を胸に浴びて死亡。

【無毛の食人大男】……ニックのマグナム弾を腹に受けて絶命。

【食人少年その5】……ナイフでニックに襲いかかったが、マグナム弾を浴びて吹き飛ばされる。

【食人少女その2】……ニックの脚に食いついたが、マグナムの銃把で2回叩かれて首の付け根を折られる。

【食人少年その6】……ニックの腰に噛みついていたが、流木で何度も打撃されて後頭部損壊。

【シアリング】……有能な若い警官。次期署長候補の筆頭と目されていたが、妊娠中の若い食人女にナイフで喉を切り裂かれて絶命。

【妊娠中の若い食人女】……出会い頭でシアリングの喉を切り裂いたが、後ろに控えていたピーターズ署長に頭のてっぺんをショットガンで吹き飛ばされる。

【太った食人女】……至近距離で二連発散弾銃を撃たれ、身体が真っ二つ。

【食人少女その3】……警官のカジャーノの喉に噛みついて殺害。ピーターズが左目に銃口を押し当てて発砲し、頭部四散。

【妊娠中の食人少女】……警官のチャーリーの脚にしがみつて食いつこうとしたところ、同じく警官のソーレンソンにショットガンの銃把で背骨を叩き折られる。

【食人少年その7】……警官のビアードに襲いかかるが、相棒の警官パーソンズに引きはがされ、口の中でショットガンを発砲されて頭部喪失。

【痩せた食人男】……ピーターズのショットガンを浴びて腹に風穴を開けられる。

【ニック】……カーラーの元恋人。現在はローラと付き合っているが、密かにマージーを愛している。マグナム片手に食人鬼の巣窟に乗り込んでマージーを助けるが、救助にきたピーターズに誤って撃ち殺される。

【囚われの少年】……食人鬼に誘拐されて檻に閉じ込められていた。6人の警官たちに食人鬼と勘違いされて撃ち殺される。その身体は「大きめのショッピングバッグで足りるほどしか残っていなかった(P300)」。

【カジャーノ】……警官。食人少女にのど笛を噛みちぎられ、救急隊が到着する前に命を落とす。

【食人族の男】……連行中のパトカー内で死亡。

【マージー】……カーラーの実妹。洞窟に連れてこられると子供たちから全身に歯を立てられて、右手小指と片方の乳房を食いちぎられるもニックに助けられる。警官隊に保護され、救急車でも意識を保っているので、たぶん生き延びたであろうと推察。