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『森の惨劇』表紙(初版)

『森の惨劇』表紙(初版)

『森の惨劇』帯-表面(初版)

『森の惨劇』帯-表面(初版)

『森の惨劇』原書(WARNER BOOKS版/1987)初版表紙

『森の惨劇』原書(WARNER BOOKS版/1987)初版表紙

森の惨劇

Cover,1987

作:ジャック・ケッチャム(金子 浩訳)

Written by Jack Ketchum

長編

扶桑社(扶桑社ミステリー文庫)/本体743円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:2010年8月10日/総407ページ(42w×18L)

ベトナム帰還兵が持ち帰ったのは孤独と狂気だった
マンハントの標的にされた6人のキャンパーの地獄

 心に深い傷を負ったベトナム帰還兵のリー・モラヴィアン。戦場の悲惨な体験がフラッシュバックする彼は、自我を失う恐怖に怯え、森の中でマリファナを栽培しながら世捨て人同然の暮らしをしていた。リーを支えてきた妻のアルマも第2子の妊娠を内緒にしたまま、去っていく。いまやリーに寄り添うのは、軍用犬としても通用するように躾けたシェパードのパブロフだけだった。
 リーが隠棲する森にほど近いキャンプ場で休暇を過ごすためにやってきた6人の男女。もやもやと複雑な人間関係を抱えた彼らだったが、たまたま入り込んだ踏み分け道の先でリーのマリファナ畑を発見する。
 その様子をひっそりと監視するリー。そのときフラッシュバックが起こり、無害なキャンパーたちが卑劣で残忍なベトナム兵へと姿を変えたのだった。
 リーは決意する。奴らに鉄槌を下すのだ。ベトナムで培った殺しのテクニック、精緻射撃可能なボウガン、忠実な愛犬と共に…。

 本作が発表された1980年代中盤は、ハリウッドでもベトナム戦争映画ブームだった。ケッチャムのまえがきによると創作のヒントは別のところから得たようなので、時代の気配がたまたまベトナム回顧に向いていたのかもしれない。
 それはさておき、ケッチャムお得意の「生殺与奪を敵に握られる」というシチュエーションは本作でも健在だけど、味付けがちょっと異なる。追う側(加害者)と追われる側(被害者)をそれぞれの立場から等しく描いており、偏りが少ない。感情移入がしずらいため、傍観者的な読書体験となった。

【サイト登録日】2013年6月16日 【ジャンル】森 自然 ベトナム マンハント サバイバル 狂気 サイコ

▽メモ1本作のアイデアの種はドキュメンタリー番組

 ケッチャムのまえがきによると、ケーブル局HBOが放送したドキュメンタリー番組「アメリカン・アンダーカバー(America Undercover/日本未放送)」を観てインスピレーションを得たようです。
 このドキュメンタリー番組のコンセプトは、アメリカ社会の負に焦点を当てるもののようです。たぶんケッチャムが観たのは、ベトナム帰還兵を取り上げたシーズン1エピソード3「Soldiers in Hiding」ではないかと思われます。
 YouTubeでいくつかのエピソードが公開されていますので、興味にある方はどうぞ。America Undercover - YouTube

▽メモ2登場人物の末路(登場順)

ウォルター・グレアム……同行カメラマン。背後から針金で首を絞められて窒息死。死体は池に沈められる。

アラン・ウォーカー……ケルシーの出版エージェント。バードウォッチングの最中に落とし穴に転落し、人糞を塗った杭に全身を刺し貫かれる。

チャールズ・マーティン・ロス……ケルシーの悪友で不遇を囲っている劇作家。ボウガンの矢で木に縫い付けられる。

マッキャン……リーの元戦友でマリファナ仲買人。リーの様子を心配して訊ねるが、誤って罠に引っかかり、大木に激突して頭蓋骨粉砕。

バーナード・ケルシー……著名な作家。大けがを負うが一命を取り留める。

キャロライン……ケルシーの妻。けがを負うも命に別状なし。

ミッシェル・ライアン……ケルシーの愛人で現在妊娠中の売れっ子ファッションモデル。顔や肩に大けがを負うも命に別状なし。

リー・モラヴィアン……重度のPTSDを患ったベトナム帰還兵。自我を取り戻した彼は、妻や息子を想いながらケルシーのショットガンを口に入れて悪夢の生涯に幕を下ろす。