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『[新版]怪奇小説傑作集1』文庫表紙

『[新版]怪奇小説傑作集1』文庫表紙

炎天

August Heat,1910

作:W・F・ハーヴィー(平井呈一訳)

Written by William Feyer Harvey

短編11ページ/『怪奇小説傑作集1[新版]』所収/創元推理文庫

The Great Stories of Horror and The Supernatural,1969

思い浮かんだ情景を描いた画家が体験する
奇妙で不思議な夏の夜の出来事

 天涯孤独なれど健康に恵まれた画家ジェイムズ。ある夏の日、ふと心に浮かんだ情景を鉛筆でスケッチする。舞台は裁判所。被告人席には太った禿げ頭の男が愕然たる表情を浮かべ、身体を支えられないほどの放心状態にあるようだ。
 描きあがったスケッチに満足したジェイムズは、なぜかはわからぬが丸めてポケットに入れ、午後の散歩に出かける。
 どこをどう歩いたかのか、さっぱり見当もつかぬが、気がつくと石工の家にたどりついていた。ふらふらと庭に迷い込んだジェイムズは、墓碑を刻む石工を見て驚きの声を上げる。スケッチに出てくる人物と瓜二つなのだ。愛想の良い石工の名はチャス・アトキンスン。妻と二人暮らしで、商売も繁盛しているらしい。
 そして、彼が彫っていた墓碑銘にジェイムズは2度驚くことになる。自分の姓名、生年が刻まれ、没年の日付は今日ではないか。
 二人は顔を見合わせる。これは偶然の産物か、それとも命運の暗示だろうか…。

 手記を軸としたホラー小説は、おもに2つのパターンがある。
(1)過去形…第三者が発見した手記を公開するなど。
(2)進行形…手記の書き手が語り部を兼ねる。
 本作は(2)を用いてて、不気味な出来事の渦中にいながら手記をしたためている主人公が登場。手記は完結してないので、主人公はどーなった? と想像の愉しみがある。結びの文も巧みで、モヤモヤした怖さが心に残った。
 江戸川乱歩は、不気味であやふやな結末の小説を「奇妙な味」と表現したけど、本作にピッタリの言葉だと思う。

【サイト登録日】2008年1月14日 【ジャンル】予知

▽メモ1身代かぎり(p380)

江戸時代、負債主が定められた期日までに負債を償還できないとき、一定の手続を経て身代全部を債権者に提供して債務にあてたこと。この処分を受けた者は、その償還を完了するまで種々の権利・資格を喪失する。今日の破産または強制執行に当たる。(広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店)

▽メモ2墓碑銘(p3xx)

「1860年1月1日生 1901年8月20日頓死。生のただなかに死はつねにあり」

ハーヴェイ