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『[新版]怪奇小説傑作集2』文庫表紙

『[新版]怪奇小説傑作集2』文庫表紙

みどりの想い

Green Thought,1931

作:ジョン・コリアー(宇野利泰訳)

Written by Jhon Collier

短編32ページ/『怪奇小説傑作集2[新版]』所収/創元推理文庫

The Great Stories of Horror and The Supernatural vol.2,1969

園芸に没頭する男が入手した珍奇な蘭
その花には驚くべき能力が秘められていた

 園芸に心血を注ぐマナリング氏が手に入れた一株の蘭。茎は奇妙な具合にこわばっており、さながら死人の手のようなまがまがしさを発散している。
 これは新種に違いない。命名者になりうる名誉を想い、熱心に手入れをする。
 ある日、同居する妹ジェインの猫が行方不明となるが、氏の関心はこぶし大に膨らんだつぼみがどのような花を咲かせるか。そんなとき、放蕩三昧の甥の後始末をするため、しぶしぶロンドンへ赴くことになる。
 帰宅するや妹が3日も家を空けていると聞かされる。しっかり者の妹に限って、と蘭の花を見る。こぶし大のつぼみが花を咲かせている。その花は猫の顔を模していた。驚くマナリング氏の全身にスルスルと伸びてきた蔓が巻きつく。
 花となったマナリング氏。隣には妹の顔をした花も咲いているではないか。
 ある種の達観とともに境遇を受け入れ始めるのだが、家に乗り込んできた甥の存在は、植物となったマナリング氏たちに黒い影を落とす。

 植物になることで欲得から解放されていく主人公。心配ごとといえば不憫なことをした妹への愛他心、世間の見世物になるのではないか、どこか別の場所に植えかえられてしまうのでは、といった不安だけ。
 植物と同化していくさまがユーモラスに描かれており、こんな人生も案外いいかも、とチラリ思ってしまった。
 一番印象に残ったのが交配シーン。主人公の花粉を付けた蜂(針はペニスの暗喩)が妹の花へ潜り込む。おしべとめしべの交配。主人公の狼狽と妹の羞恥、恐怖(p44〜p46)。あまりにも滑稽でニヤニヤしちゃった。

【サイト登録日】2008年1月20日 【ジャンル】植物

▽メモ1ファシズム運動?(p38)

妹への表現描写にある「諸国を風靡している、例の運動の信奉者だった(p38)」とは、ファシズム運動のこと?

コリア