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『[新版]怪奇小説傑作集2』文庫表紙

『[新版]怪奇小説傑作集2』文庫表紙

人狼

The Werewolves,1839

作:フレデリック・マリヤット(宇野利泰訳)

Written by (Captain)Frederick Marryat

短編37ページ/『怪奇小説傑作集2[新版]』所収/創元推理文庫

The Great Stories of Horror and The Supernatural vol.2,1969

死骸を喰らう美貌の女は、人か、獣か
呪われた運命に翻弄される青年の末路

 小さな帆船でプロ・ピナン(マレーシア・ペナン島)を目指すフィリップとクランツ。海路を進む中、海が凪いだのを皮切りにクランツはこれまでの数奇な人生を語り始める。
 美しき妻と貴族がベッドを共にしている現場に出くわした農奴の父親は逆上して2人を殺害。その夜のうちに3人の子を連れ、故国から遠く離れたハルツ山脈まで逃亡。父子4人のわびしい山小屋生活が始まる。
 狩猟と炭焼きで生計を立てる父親は、白い狼を追いかけて雪山深くわけいると、同じような理由で逃亡の途中であった父娘と出会う。
 娘のクリスチーナは驚くほどの美しい女性だったが、目には残忍さというべき光を秘めているようだった。
 父親と結婚して継母となったクリスチーナだが、食事の支度中に生肉を食べ、夜ともなればコッソリと小屋を出ていく。彼女はいったい何者なのか?

 平井呈一氏の解説いわく本来は独立した作品ではなく、幽霊船を描いたホラー小説『The Phantom Ship(1839)』の第39章の抜粋(p440〜p441)。起承転結がしっかりしており、抜粋とは思えぬ出来栄えだ。
 本作のテーマは「殺人の罪から逃避できない。末代まで贖うべし」だと思うけど、読みどころは人狼に尽きる。掘り返した子供の死体をガツガツ喰らう美女の姿が怖い。たった4行だけど。現代のナスティ派の作家なら腕の見せ所だね。本作の発表は1839年。過激な描写が好まれなかった時代だろうし、読者の想像力にお任せ、という作者の意図が込められているのかもしれない。

【サイト登録日】2008年1月31日 【ジャンル】呪い・狼人間

▽メモ1最古の人狼小説

平井呈一氏の解説(p441)によると「人狼を主題とした小説として、もっとも古い」作品ということです。

▽メモ2子供の名前

長男シーザー、二男ハーマン(語り部)、長女マーセラ

マリアット