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『[新版]怪奇小説傑作集2』文庫表紙

『[新版]怪奇小説傑作集2』文庫表紙

チェリアピン

Tcheriapin,1920

作:サックス・ローマー(中村能三訳)

Written by Sax Rohmer

短編32ページ/『怪奇小説傑作集2[新版]』所収/創元推理文庫

The Great Stories of Horror and The Supernatural vol.2,1969

動植物を完全な形で保存する世紀の発明
悲劇さえも保存してしまうというのか

 安酒場『マレーっ子』の喧騒のもと、変わった頭巾の付いた外套をまとう男が取り出したのは、みごとな細工の薔薇の宝石。花びら、茎、葉脈に至るまで精巧に再現されている。驚きを隠せないわたしに男が語りかける。「これは宝石ではありませんよ。自然の細工なのです」
 動植物を縮小させ、同時に金属質へ変化させる方法を発明した天才技術者クリーナー博士。発明にまったく執着しない博士は、新進気鋭の芸術家たちが集い、語らう場所として自分の家を開放していた。
 その集いに現れたのが、冷笑的で傲慢な天才ヴァイオリニストのチェリアピン。天賦の才を持ちながらうだつの上がらぬ絵描きのアンドリュー。2人は出会った瞬間、犬猿の仲となる。
 チェリアピンとアンドリューの悲劇、クリーナー博士の成果。事の顛末をすべてお見せしましょう。男に従ってある家に辿り着いたわたしが見たものとは?

 無関係の人が怪異に襲われる"巻き込まれ系"ホラーには無数の作品がある。ほとんどの作品は偶然が多く、タイミング悪く居合わせたら巻き込まれちゃった、という感じ。怪異側に明確な意図はない。意図がないから出来事だけを明快に描く。これがホラー小説の王道パターンの1つ。
 本作も一種の巻き込まれ系だけど、構成がざつ。外套の男(実はクリーナー博士)が主人公に事件の顛末を聴かせ、家に招いて証拠を見せる。なぜ秘密を告白したのか? そもそも主人公は何者か? 怪異の側に意図があるのに、その理由は明かされない。不気味というより無作法な作品。

【サイト登録日】2008年2月9日 【ジャンル】神秘・幻想・科学

▽メモ1保存できない部位もある(p392)

琺瑯質(歯)だけ保存できず、歯はあらかじめ抜いてしまう。

▽メモ2チェリアピンの素性(p375)

父親は家柄の良い中国人、母親はポーランドのバレリーナ。

▽メモ3作者最大のヒット作は?(p441)

作者ローマーは『フー・マンチュ−博士』の執筆で有名。