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『[新版]怪奇小説傑作集3』文庫表紙

『[新版]怪奇小説傑作集3』文庫表紙

ラパチーニの娘

Rappaccini's Daughter,1844

作:ナサニエル・ホーソーン(橋本福夫訳)

Written by Nathaniel Hawthorne

短編57ページ/『怪奇小説傑作集3[新版]』所収/創元推理文庫

The Great Stories of Horror and The Supernatural vol.3,1969

狂気の研究がもたらしたベアトリーチェの秘密
恋を知ったばかりに破滅を選んだ美女の悲運

 寓話性の強い奇異な小説を多数発表しているオーベピーヌ氏。顧みられることの少ない作家だが、ある種の愛情と共感を覚えたわたしは、ここに彼の小説『ベアトリーチェ、美わしき毒殺者』を紹介する次第である…。
 医学を志してナポリからパドヴァにやってきた美青年ジョヴァンニ・ガスコンチは、よく手入れされた庭園を眼下に見据える安下宿に入居する。
 庭園の持ち主ラパチーニ博士は研究のためには犠牲もいとわぬ冷徹な人物。植物を医学へ応用する研究をしており、草木はすべて人造のものだという。
 ある日のこと、庭園で草花の手入れをする博士の娘にして美しきベアトリーチェを見かけたジョヴァンニはひと目で恋に落ち、ささやかな交際が始まる。
 純粋で優しい心根を持つベアトリーチェだったが、彼女の息に触れた蝶は死に絶え、健康な草花は枯れ果てる。ラパチーニ博士の実験は娘にまで及んでいたのだった。ジョヴァンニとベアトリーチェの行く末に待つのは幸福か、破滅か。

 ベアトリーチェに接したことで毒に侵されたジョヴァンニは、罵詈雑言で彼女をなじる。そんな2人を見てラパチーニ博士が言う。「他のすべてのものたちには恐るべきものとして、ともにこの世を過ごしていくがいい!(p64)」
 ベアトリーチェは父親に言う。普通の女性でいたかった、と。ジョヴァンニにも言う。「もしかすると、あなたの本質には、わたしの本質にあるよりももっと大きな毒が、最初からひそんでいたのではありませんか?(p65)」。
 このセリフを読むたびに昔の自分のバカさ加減を思い知らされ、身の置き所のない情けなさで胸がいっぱいになる。心が痛くなる、すごく怖い作品。

【サイト登録日】2008年2月11日 【ジャンル】植物・怪物

ホーソン