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『[新版]怪奇小説傑作集3』文庫表紙

『[新版]怪奇小説傑作集3』文庫表紙

あとになって

Afterward,1910

作:イーディス・ウォートン(橋本福夫訳)

Written by Edith Wharton

短編61ージ/『怪奇小説傑作集3[新版]』所収/創元推理文庫

The Great Stories of Horror and The Supernatural vol.3,1969

幽霊が出没する噂の屋敷で暮らす夫婦
あとにならないとわからない幽霊の正体とは?

 投機で富を得たエドワードとメアリイのボイン夫妻は、情緒あふれる生活を目指してアメリカからイギリスに渡り、片田舎ドーセットシアのリング屋敷を手に入れ、生活を始める。
 リング屋敷には幽霊が出没するというが、姿形は定かでない。それが幽霊だとわかるのはずっとあとになってからのことだという。幽霊との遭遇を楽しみに待つ夫妻だったが、時とともに忘れ去ってしまう。
 穏やかな日々を過ごす夫妻の屋敷に若くて痩身なアメリカ人男性が訪ねてくる。多忙だったメアリイは「夫は書斎にいますから」と適当にあしらう。
 日が暮れても来訪者と共に外出した夫は帰宅せず、ついには警察が捜査に乗り出すものの成果なく、時だけが過ぎていく。
 諦めにも似た無感覚状態に陥ったメアリイは、訪ねてきた弁護士から見せられた新聞を読んで愕然とする。あの男の写真が載っていたのだ!

 テーマは「悪銭身につかず」か「因果応報」といったところ。
 女性作家ゆえか、妻の心理がたくみに描かれている。不便な生活、幽霊のいる屋敷を喜々として手に入れた夫妻の心情は理解しがたいけれど。
 ビジネス上のトラブルよって破滅した男が幽霊として登場する。このトラブルに悔恨というか責任を感じていたからこそ、夫は幽霊に付いていたわけで、多少なりの良心を持った人物といえる。妻のほうは、夫と生活に満足し、与えられることを享受するのみだった。妻にとって恐怖の対象は幽霊ではなく、一人で生きていかねばならない、これからの人生に向けられているのかも。

【サイト登録日】2008年2月15日 【ジャンル】幽霊屋敷

▽メモ1三百代言(p117)

弁護士の蔑称。言葉たくみに言いくるめる行為。