全作品リスト

書名:短編集

書名:長編

書名:掌編集/実話怪談

書名:ホラー関連書

作家リスト

シリーズリスト

特集ページ

サイトトップへ戻る

本サイトについて

更新履歴

累計:

今日:

昨日:

『[新版]怪奇小説傑作集3』文庫表紙

『[新版]怪奇小説傑作集3』文庫表紙

夢のなかの女

The Dream Woman,1874

作:ウィルキー・コリンズ(橋本福夫訳)

Written by Wilkie Collins

短編43ページ/『怪奇小説傑作集3[新版]』所収/創元推理文庫

The Great Stories of Horror and The Supernatural vol.3,1969

夢のなかでナイフを手に迫ってくる女の正体は?
悪女に魅入られ人生を失った男の数奇な人生

 隣町まで往診にやってきたわたしは、帰りの馬車を手配するため安宿屋を訪れた。宿の馬丁アイザックは昼間寝る生活でいつも夢にうなされているらしい。医者として興味をもったわたしは、宿屋の主人から事情を聞いてみると…。
 真面目で実直な働き者ながら運に恵まれず、近所では「不運のアイザック」と呼ばれる彼は、母親と二人暮らしでつつましく暮らしていた。
 誕生日を控えたある日のこと、新しい勤め口を訪ねたアイザックは宿屋で一泊する。その部屋にナイフを持った女が現れ、自分を殺そうと迫ってくる。彼は逃げ出したが、宿屋の主人が確認したところ部屋にはなんの異常はないという。
 その日を境に彼の運が一転。素晴らしい雇い主に恵まれ、精勤したあげく、年金をいただき、安楽に暮らせるだけの財を蓄えた。
 ある夜、自殺をほのめかす女レベッカに出会ったアイザック。色恋沙汰に縁遠かった彼はついに恋をするのだが、彼女をどこかで見かけた覚えもあり…。

 予知夢の変形小説。待ち受ける悲劇を夢で知りながら生かすことができなかった男。夢のことを恐れていたくせに女性の魅力に負けてしまった主人公は哀れだけど、笑えない話だ。溺れる男側の問題か、手管を使う女性の問題か。男女を巡る怖さはいつの時代も変わりがない。純粋ホラーとは言い難い作品だけど、今後も読み継がれていくだろう普遍的なスリラー小説だと思う。
 悪女レベッカが窓越しから部屋をうかがう描写「あの不吉な顔がまたしても、もの珍しそうになかをのぞきこんだ」(p260〜p261)は、幽霊を思わせる不気味さとイヤらしさに満ちててゾクっとした。

【サイト登録日】2008年2月25日 【ジャンル】予知夢

▽メモ1「夢の女」の描写(p242〜p243、p250)

左のまぶたが少し弛んだ薄灰色の目。多少金色の混じった亜麻色の髪。産毛の見える白い腕。爪の周りが桜色を帯びた上流婦人のような手。凶器は鹿の角の柄のついた折畳みナイフ。