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『[新版]怪奇小説傑作集3』文庫表紙

『[新版]怪奇小説傑作集3』文庫表紙

怪物

The Damned Thing,1896

作:アンブローズ・ビアース(大西尹明訳)

Written by Ambrose Bierce

短編19ページ/『怪奇小説傑作集3[新版]』所収/創元推理文庫

The Great Stories of Horror and The Supernatural vol.3,1969

野獣に喉を切り裂かれて死亡した男
真相を調べる検視官が導き出した真実は?

 粗末なテーブルの上に顔から上半身をシーツで覆われた死体が横たわっている。名はヒュー・モーガン。孤独を好む変わり者として知られていた男だった。
 村に出向いてきた検視官にして陪審員長の男は、モーガン死亡時に一緒にいた新聞記者ウィリアム・ハーカーを証人として喚問する。
 宣誓をしたハーカーが語り出したのは、まったくもって奇妙な出来事だった。
 モーガンと2人でうずら狩りに出かけたときのこと。動物が潜んでいるかのように藪が騒がしく揺れた。覗き込んだモーガンは「怪物がいるんだ!」と叫び、散弾を2射したかと思うと、一目散に逃げ始めた。冷静沈着な気質のモーガンがあれほど慌てるなんて、と驚いたハーカーは、藪から出てきた柔らかくてずっしりと重いものに弾き飛ばされる。気がつくと、遥か先でモーガンが断末魔の悲鳴を上げていたのだ、という。
 この証言は真実か? モーガンを殺した獣の正体とは?

 ニガヨモギ汁をインクに使っている、と評されるほど辛辣で皮肉的な文章を残したビアース。初めて読んだ著作は『悪魔の辞典(角川文庫版)』で、さまざまな言葉を辛辣に定義している本。いまでも覚えているのが「友情」の項。「好天では2人乗れ、荒天では1人しか乗れない船」。言いえて妙だね。
 透明モンスターが登場する本作だけど、先に手を出したのは人間側。そもそもモンスターに悪意があるとは描かれていない。悪意はないけど恐ろしいモンスターはなにを表現しているのだろう。賢明な読者諸君ならばお判りのはず、と草葉の陰でビアースがニヤニヤ笑っているような気がする。

【サイト登録日】2008年3月9日 【ジャンル】モンスター

▽メモ1モンスターの描写は断片のみ(p386,p388)

「鮮やかな足跡(p386)」「(体色が)人間の目には見えない色に違いない(p388)」