全作品リスト

書名:短編集

書名:長編

書名:掌編集/実話怪談

書名:ホラー関連書

作家リスト

シリーズリスト

特集ページ

サイトトップへ戻る

本サイトについて

更新履歴

累計:

今日:

昨日:

『[新版]怪奇小説傑作集3』文庫表紙

『[新版]怪奇小説傑作集3』文庫表紙

シートンのおばさん

Seatons's Aunt,1922

作:ウォルター・デ・ラ・メア(大西尹明訳)

Written by Walter de la Mare

短編64ページ/『怪奇小説傑作集3[新版]』所収/創元推理文庫

The Great Stories of Horror and The Supernatural vol.3,1969

級友シートンのおばの家に招かれたぼく
その老女は悪魔と盟約しているらしいのだが…

 貧弱な体つきと外国人のような黄色っぽい肌のアーサー・シートンに対し、同級生たちは軽蔑と悪意を抱いていた。ぼくも同じクラスという程度の付き合いで、話しかけられても横柄に無視する態度をとっていた。
 あるとき、シートンから壺一杯のジェリーを進呈されたぼくは、週末の休暇を彼のおばの家で過ごすことを約束してしまう。
 まる1日かけてたどり着いたぼくたちを迎えたシートンのおばさん。小柄ながら頭は大きく、顔も長い。目も異常に長く、重たく垂れ下がったまぶたで半分ほどしか見えない。そんな老女だった。
 ぼくはおおいに歓迎されたのだが、なぜかおばさんはシートンに対して冷たく、皮肉的に接する。シートンも妙に沈んだ表情をしているのだった。
 その日の夜更け、ぼくの部屋にやってきたシートンは声を潜め、真剣な面持ちで言う。「おばさんにはすべてが見えている。悪魔と盟約を結んでいるから…」

 おばさんの正体はなんだったのか? 明かされることはなく物語は終わる。頑固で偏屈なだけの老女かもしれないし、悪魔と盟約を結んだ魔女かもしれないし。ひょっとすると人間ですらなかったのかもしれない。
 正体そのものの怖さではなく、正体を想像するときにかもし出される怖さ。それが本作の恐怖感なんだろうね。
 最後のほうにこんな文章がある。「名状したがいほどすねた感じの、きしるような耳ざわりな声がひそひそと言った。「あなたなの? ねぇ、あなたなの、アーサーや?」(p451)。ここを読んでゾクゾクした。女は、魔物だ。

【サイト登録日】2008年3月13日 【ジャンル】魔女

▽メモ1シートンのおばさん描写

デラメア