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『ナイト・フライヤー』文庫表紙

『ナイト・フライヤー』文庫表紙

Food,1988

作:トマス・テッシアー(白石朗訳)

Written by Thomas Tessier

短編24ページ/『ナイト・フライヤー』所収/新潮文庫

Prime Evil,1988

大量の食糧をむさぼり食う肥満の女性
彼女になにかが起こりつつあるらしいのだが…

 編集者を引退し、都会から郊外へと移り住んだホイットマン。貯蓄に励んだおかげで悠々自適。村で借りた店舗で道楽程度の稀覯本を扱う商売をはじめる。
 愛する本に囲まれた生活を満喫するホイットマンにも心配のタネが1つある。
 隣家に住む20代の女性ミス・ロウは異常な大食漢。いまや体重240キロ以上、ベッドから起き出すことすら不可能というありさまだった。
 再三再四にわたって病院での治療を勧めるホイットマンだが、当の本人は「体が食べろというから、それに従っているだけよ」と聞く耳を持たない。
 肥満した身体、生活態度を嫌悪していたホイットマンだったが、そこに美を見出し、惹かれていることを自覚する。ずっと独身だった彼は、ミス・ロウに恋心を抱き始めたのだった。
 いつものようにバルザックを朗読して聴かせるホイットマンにミス・ロウが告げる。「わたしの中で何かが変わっていくような感じがするの」…。

 淡々とした筆使いで穏やかな(幸せといってもいい)時間が流れていき、ラストでドンっと怪奇現象が起こる作品。
 構成や筆の進め方には「こんな話があるんだよ」の口上ではじまる夜話的な雰囲気があって、20世紀以前のホラー(勝手にレトロホラーと呼ぶ)を読んだときのような、ちょっと懐かしい気分になった。
 肉塊と化した女性を前にして「愛しているよ」とささやく男。押しつぶされたけど本懐を遂げたんだろうね。このラスト4ページを読みながら、なぜか楳図かずおの『へび女』の1シーンを思い出してしまった。

【サイト登録日】2008年3月23日 【ジャンル】怪物・幻想