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『血の本1:ミッドナイト・ミートトレイン』文庫表紙

『血の本1:ミッドナイト・ミートトレイン』文庫表紙

下級悪魔とジャック

The Yattering and Jack,1984

作:クライブ・バーカー(宮脇孝雄訳)

Written by Clive Barker

短編39ページ/『血の本1:ミッドナイト・ミートトレイン』所収/集英社文庫

Books of Blood No.1,1984

小ずるい下級悪魔vs剛胆なジャック
魂を行方を決める凄絶な聖夜が幕を開ける

 キューリ輸入業を営むジャック・ポロなる男の魂を奪うため、魔王庁から派遣された下級悪魔。ジャックの母親は悪魔と契約したが、魂を差し出さずに天国へ逝ったという。裏切りの代償として息子の魂を奪うのだ、と魔王ベルゼバブ。
 下級悪魔は、お得意の魔力で怪奇現象を起こし、ペットの猫を次々と惨殺したりとやりたい放題だが、当のジャックは「気のせいに違いあるまい」と涼しい顔。
「ケセラセラ(なるようになるさ)」が口癖で、妻の浮気と自殺、娘の同性愛告白にも動じない愚鈍な男ジャック。
「家から出てはならぬ」「人に触れてはならぬ」という悪魔の法にも縛られる下級悪魔は、ストレスと屈辱で悶々たる日々を送るが、最大のチャンスが数ヵ月後に迫っていた。2人の愛娘が帰省するクリスマスこそ、蹴りをつける絶好の日だ。
 一方のジャックは、とうのむかしに悪魔の存在に気付き、愚鈍なふりをして耐えていた。クリスマスに決着をつけてやる。最後に笑うのは?

 小粋なユーモアホラー。下級悪魔が憂さ晴らしに猫を八つ裂きにしたり、丸焼け七面鳥が暴れる場面ではスプラッター顔負けの小汚い描写が冴えるものの、陰湿さがないので受け流せるレベルにとどまっている。
 悪魔に悟られないようにするためとはいえ、妻の浮気や自殺を飲み込んでしまうほど、したたか、豪胆、そして酷薄な気質を持っているジャック。それに引き換え、じたばた暴れ、泣き言をもらし、「温かい家庭はいいもんだなぁ(P78)」とのんきなことをいう下級悪魔のほうがよほど人間臭いユーモアをにじませている。「がんばれ、悪魔」。これもまた作者のたくらみ。

【サイト登録日】2008年4月27日 【ジャンル】悪魔・ユーモア

▽メモ1下級悪魔の描写(P95)

身体は土気色。ギラギラ光る目蓋のない目、尻尾。言葉にはオーストラリア訛りがある。

▽メモ2誤字?

p61では「魔王庁」、p96では「地獄庁」となっているのはなぜ?

▽メモ3ランボウ?(P66)

「秋は地獄の季節」はランボウの引用?

クライブ クライヴ バーカー ヴァーカー