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『血の本1:ミッドナイト・ミートトレイン』文庫表紙

『血の本1:ミッドナイト・ミートトレイン』文庫表紙

丘に、町が

In the Hills,the Cities,1984

作:クライブ・バーカー(宮脇孝雄訳)

Written by Clive Barker

短編54ページ/『血の本1:ミッドナイト・ミートトレイン』所収/集英社文庫

Books of Blood No.1,1984

数万の血肉が作り上げた巨人の発狂
奔放な想像力が紡ぎ出す阿鼻叫喚の悪夢世界

 ユーゴスラヴィア(現セルビア・モンテネグロ)旅行に来たミックとジャッド。どんなことにも一家言持つジャッド、めんどうごとには無関心なミック。気質の異なる2人は肉体関係でつながるゲイのカップルだった。
 道に迷い、森の奥深くに入り込んだ2人は、道幅いっぱいの血の奔流に驚く。その先には数万人の老若男女が折り重なるようにして死んでいたのだ。
 ポポラックとポジュエヴォ。中世以来10年に1度開かれる町同士の戦いの儀式。数万人の住民が縄や皮帯でお互いを結び、生きた巨人を形作って戦うという。
 しかし、ポジュエヴォ側の巨人は戦う前に自壊し、数万の人々が押しつぶされ、折れ曲がり、死んでいった。惨劇を目の当たりにしたポポラックの巨人は狂気に駆られたまま、逃げ去ったのだという。
 半信半疑でまま、森の小屋で眠りについた2人は、とてつもない地響きを耳にする。星空を覆い隠す巨大な人影が現れたのだ。

「個性というしみったれた幻想は、抗しきれない集団の感情に押し流された。〜その声はいった。行け!と(p272)」。
 歩幅1/2マイル(約800メートルくらい)の生きた人間の集合体。力尽きた死体をブラ下げながらも狂気から逃れるため、狂気の意志で歩み続ける。
 全体主義、右へ倣え的な現代社会の風刺劇なんだろうけど、テーマ以上に怖いのが、人と人がギッシリとつまった巨人の存在感。狭く、身動きがとれない満員電車ですら苦手なんで、自分が巨人に組み込まれたさまを想像するだけで息苦しい。殺人鬼やモンスターより100倍怖い作品だった。

【サイト登録日】2008年5月13日 【ジャンル】儀式・モンスター

▽メモ1ポジュエヴォの巨人の構成人数は38,765人(p265)

▽メモ2ポポラックの巨人(p285〜p287)

天まで届く人間の形。すさまじい体重を支えるために脚は異様に太く、腕は寸詰まり。亀の甲羅のように体を丸めた人間の体が肩の盛り上がりを表現している。左右の眼球は5人の縛りあわされた人間であり、頭の毛を剃られた子供たちが歯になっている口が単調な狂気の歌をうたっている。

▽メモ3死臭についての記述(p261)

「人間の肉体の奥深くに閉じこめられていた匂い、甘ったるいような、妙に美味そうな匂いだった」

クライブ クライヴ バーカー ヴァーカー