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『血の本2:ジャクリーン・エス』文庫表紙

『血の本2:ジャクリーン・エス』文庫表紙

腐肉の晩餐

Dread,1984

作:クライブ・バーカー(大久保寛訳)

Written by Clive Barker

短編69ページ/『血の本2:ジャクリーン・エス』所収/集英社文庫

Books of Blood No.2,1984

人間を恐怖させるものとはいったいなにか?
非人道的な実験の罠に落ちた学生の悲運

 平凡な大学生スティーヴは、辛辣で独断的な意見を持つ年上の学生クウェードの知己を得る。彼は語る。「人間はなにに恐怖するのか」。
 病的な執着が気味悪く、距離を置き始めるスティーヴだったが、夏休みも終わりに近い日の午後、クウェードから実験と称する一連の写真を見せられる。
 怖いものなしを豪語する菜食主義者の女学生シェリル・フロムが監禁され、1枚の肉を食事として与えたさまが写っている。日を追うごとに正気を失い、ついには腐り、蠅の卵が産み付けられた腐肉を食らうシェリル。
 クウェードの異常さに身構えるヒマもなくクロロフォルムで昏倒するスティーヴ。目覚めると真っ暗な穴蔵に鎖で繋がれ、耳栓がはめ込まれていた。子供の頃、一時的に聴力を失ったスディーヴにとっては悪夢の再現なのだ。
 クウェード自身、斧を持つ殺人鬼に襲われる悪夢に怯えていた。克服するには、恐怖に打ち負かされた人間が放つ最後の一言にヒントがあると考えたのだが…。

 発想はおもしろく、この頃のバーカーの代名詞ともいえるサディスティックな描写も興味深い。その反面、緻密さを欠いている気がする。
 佳境に入り、発狂したスティーヴがついに一言が発する。ここをクライマックスとすべきだろうけど、さらに物語を続けたことで緊張感がプツリと切れちゃってる。スティーヴとクウェードのどちらに軸足を置くべきか、迷っているうちに書き上がってしまった、という作者の迷いみたいなものも感じる。
 邦題も大げさすぎてマイナス。原題の通りに「Dread 死の恐怖」くらいに収めたほうがよかった。

【サイト登録日】2008年5月14日 【ジャンル】サイコ・悪夢・狂気・科学

▽メモ1誤字あり(p77)

スティーヴとクウェードが対峙するラストに誤字があります。スティーヴ(彼)が見ている光景の描写なので「彼が拷問にかけた人間が腐った心を永久に沈黙させたまま〜」ではなく、「彼を拷問にかけた〜」が正しいはず。

クライブ クライヴ バーカー ヴァーカー