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『血の本2:ジャクリーン・エス』文庫表紙

『血の本2:ジャクリーン・エス』文庫表紙

父たちの皮膚

The Skins of the Fathers,1984

作:クライブ・バーカー(大久保寛訳)

Written by Clive Barker

短編62ページ/『血の本2:ジャクリーン・エス』所収/集英社文庫

Books of Blood No.2,1984

宿願を果たすべく出現した怪物たち
小さな町の住民はヒステリックな戦いを挑むが…

 灼熱のアリゾナで立ち往生したデイビィッドソンは、砂漠を横切るパレードの隊列を見かけて追いすがる。それは人ではなかった。身の丈5〜6mもあろう怪物の集団だった。ショックのあまりに脱糞し、あわてて逃げ出すのだが…。
 砂漠の町ウェルカムに住むユージーンとルーシー夫妻。利発で聡明な5歳の息子アーロンは人ではない。妻が怪物たちにレイプされて宿した忌まわしい存在なのだ。怒り、苦しみ、弱さ。ユージーンは我が子を虐待して憂さを晴らす。
 ルーシーは、夫とは別の想いを宿していた。犯されながらも怪物たちには純粋な優しさが感じられた。だから何度も絶頂に達したのだ。夫ユージーンの癇癪のとばっちりを受けるたびに怪物たちへの思慕の念が強くなっていく…。
 そんな折り、アーロンをお迎えにきた怪物たちの出現でウェルカムの町はパニック。武装団を組織して徹底抗戦を主張する保安官パッカード。町にたどり着いたデイビィッドソンも否応なく巻き込まれる。謎に包まれた怪物の真意とは?

 冒頭の怪物パレードが怖い。カリカチュアされた薄気味悪さを感じる。TVで観たスペインの仮面パレードを思い出した。
 エゲつない容姿の怪物と女性のセックス、B級映画を思わせる戦闘シーンなどを軽いノリで書いてるけど、その骨格にはお得意の神話性が宿っている。神話を突き詰めれば戒めの物語だと思うんだけど、バーカーはとくに人間の愚かしさを嗤うところに注力している気がする。うがちすぎかな。
 太古の世界うんぬんの設定はラヴクラフトの諸作に通じるところもあるけど、モダンかつシニカル、そして直接的に描くバーカー流神話の好短編だ。

【サイト登録日】2008年5月18日 【ジャンル】悪魔・怪物・セックス

▽メモ1アーロンは「気高き者」という意味(p208)

▽メモ2物語の背景(p241〜p242)

怪物と女性で成り立っていた世界は平和で慈愛に満ちていた。友達として男を作ったら均衡は崩れ、怪物たちは逼塞するはめになる。アーロンは両世界の架け橋となるべき存在だった。

▽メモ3怪物その1(p200)

体長5〜6m。筋肉の上に幾層にも垂れ下がった皮膚は、作物の稲が体をおおっているように見える。頭は円錐形、真っ赤な歯茎に生えた歯がむき出しになっている。

▽メモ4怪物その2(p200)

翼が3枚あり、先端が3本に分かれた尻尾を生やしている。

▽メモ5怪物その3(p200)

2匹の奇怪な生き物は全身から駅を滴らせながら1つにつながっている。手足は双方の体の傷口に突き刺さり、お互いの顔から出ている舌が絡み合い、不協和音を響かせている。

▽メモ6怪物その4(p200〜p201)

赤と黒の皮膚を持ち、笛のような声で叫び声を上げる。手のひらに歯のついている親指のない手、三色の1つ目だけがある顔、筋骨隆々の肩と胸。勃起した性器は先が二股に分かれている。かぎ爪のある脚でチータのように速く走る。車を破壊したときの爆発で焼死する。

▽メモ7怪物その5(p229)

ピラミッド型の頭、ギリシャ彫刻のような筋骨たくましい薔薇色の上半身。下半身は傘状に広がり、肉のレースのスカートのように見える。

▽メモ7怪物その6(p229)

頭はない、美しい銀色の体。真珠母を散りばめたような6本の腕が生えている。

クライブ クライヴ バーカー ヴァーカー