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『血の本3:セルロイドの息子』文庫表紙

『血の本3:セルロイドの息子』文庫表紙

セルロイドの息子

Son of Celluloid,1984

作:クライブ・バーカー(宮脇孝雄訳)

Written by Clive Barker

短編63ページ/『血の本3:セルロイドの息子』所収/集英社文庫

Books of Blood No.2,1984

永遠の一瞬を映し続ける映画館の闇
人の想いが実体化した怪物が牙をむく

 古びた映画館に逃げ込んだ手負いの脱走犯バーベリオは、壁と壁の間に転落し、ひっそりと絶命する。自らが癌に侵されていたことすら知らずに…。
 8ヶ月後の映画館。肥満が悩みの女性従業員バーディは、フロアにたたずむ少女リンディに声をかける。ボーイフレンドがトイレに行ったまま戻らないのだという。哀れみをおぼえたバーディは、同僚のリッキーに調べるよう声をかける。
 トイレに入ったリッキーは呆然とする。目の前には荒野が広がっており、飛んできた銃弾に耳たぶをちぎり取られたのだ。砂塵の向こうからやってきたのは、偉大なる西部劇スター、ジョン・ウェイン。マリリン・モンローまで登場し、下半身をあらわにしてリッキーを誘惑する。「私を愛して、永遠に愛して」。
 異変に気づいたバーディに怪物が襲いかかる。肝臓のようにヌメっとした気色悪い怪物。映画館で発散された観客たちの感動や情熱が蓄積し、バーベリオの癌細胞と合体して生命を得たのだ。2階に追いつめられたバーディはついに…。

 バーカーが描く人物は破滅タイプが多い。それも肉欲に負けて「ヤレるならいいや」と破滅する。ご飯を前にして「待て!」ができない猫レベル。ガマンできる猫っているのかな。ウチで飼ってた猫はどう躾けてもダメだったぁ。
 本作も目の前にぶら下がった快楽に負け、怪物の餌食となる男が登場する。一方、肥満体の禁欲的な女性バーディは、ヌメヌメした怪物が身体に這いのぼってくる感覚に「性行為しているみたい(p68)」と思うが、意志が折れない。快楽に負けない。コンプレックスだった肥満を生かして反撃に転じる。怪物とセックスを同じレベルの恐怖として語るのがバーカーのパターンかな。

【サイト登録日】2008年5月22日 【ジャンル】怪物・病気・映画

▽メモ1怪物の容姿(p67)

ナメクジのような体で大きさは幼児くらい。表面は生の肝臓を思わせ、歪んだ歯のない口をしている。

▽メモ2怪物の食べ物(p57)

ナメクジの触手のようなものが接することで恐怖が支配するまなざしから養分を吸い取っている。

▽メモ3作品から知るバーカー(P64)

「怪物がじかに出てくるより、影だけ見えるほうがいい。登場人物が死ぬより、傷を負うだけのほうがいい」と描いてみせるバーカーは、神経が図太い。

クライブ クライヴ バーカー ヴァーカー