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『血の本6:ラスト・ショウ』文庫表紙

『血の本6:ラスト・ショウ』文庫表紙

死は生なればなり

The Life of Death,1985

作:クライブ・バーカー(矢野浩三郎訳)

Written by Clive Barker

短編61ページ/『血の本6:ラスト・ショウ』所収/集英社文庫

Books of Blood No.6,1985

地下埋葬所から持ち出された致死性病原菌
死神の子を宿した女性の歓喜と皮肉な運命

 病院の帰り道、古い教会の取り壊し現場を出くわしたエレイン。
 子宮切除と離婚。悲しみと怒りにすさぶ彼女の心は、その光景の虜となる。声をかけてきた男カヴァナーの話では、地下埋葬所の入口は封印されているらしい。
 情緒不安定があだとなり、職場復帰も不首尾に終わったエレインの足は教会へ。埋葬所の入口が開いたらしく、防護服姿の職員が右往左往している。
 その夜、警備の目をかいくぐって埋葬所へ侵入したエレインは、無数の死体が打ち捨てられた光景を目の当たりにする。その出来事を境に快活な気分を味わい、猛烈な食欲を覚えるエレイン。いくら食べても飢えが収まらない。
 会社のトイレで女子社員が吐血して倒れたことを聞き、エレインは悟る。私は埋葬所から病原菌を持ち出してしまった。免疫を与えられた私は、死神の子供を宿したのだ。きっと死神も私を見守っているだろう。いったい誰?
 カヴァナーに違いない。再会を悦ぶエレインだが、彼は正体は意外にも…。

 子宮を喪って性をなくした女性が力強く再生する。一般小説では、アイデンティティの回顧から始まり、達観、回復、希望という生命の力強さを問う。
 本作の根底にも生命の悦びが見えるけど、バーカーは「死が究極の悦びにつながる」と描く。ゆえに女性主人公に過剰な悦びを与え、他人や自分の死さえ痛快に感じる充足感にひたらせる。罪悪感も一切ない。一般小説がマゾヒスティックに語る題材をバーカーはサディスティックに組み立てている。
 病原菌の出現が地下埋葬所っていうのは、黒死病(ペスト)の厄災に見舞われたヨーロッパ人ならではの着想点かな。

【サイト登録日】2008年9月7日 【ジャンル】悪魔 墓地 疫病

クライブ クライヴ バーカー ヴァーカー