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『闇の展覧会[新装版]1 敵』文庫表紙

『闇の展覧会[新装版]1 敵』文庫表紙

クリスマスの前夜

The Night Before Christmas,1980

作:ロバート・ブロック(広瀬順弘訳)

Written by Robert Albert Bloch

短編40ページ/『闇の展覧会 敵』所収/ハヤカワ文庫NV

Dark Forces,1980

姦淫の果てに待ち受ける恐るべき運命
暗く、深い心の闇を描いたサイコホラー

 富豪カルロス・サンチアゴの肖像画を描いてほしい。画廊のオーナーに紹介され、不承不承カルロス邸へやってきた貧乏画家アーノルド・ブランドン。
 裸一貫で海運業を興したカルロスは、牛頭の怪物ミノタウロスを思わせる風貌の大男。芸術家気質だけはいっぱしのブランドンは、依頼を断るつもりだったが、描いて欲しいのは妻ルイーズだという。
 完全無比な美貌を持つルイーズから官能的なものを感じたブランドンは、仕事を引き受け、やがて情事を結ぶようになる。
 絵が完成に近づいたころ、「離婚するわ。カルロスからお金をふんだくってやる」と息巻くルイーズ。前途に広がる贅沢な暮らしを夢想するブランドン。
 クリスマス・イヴ。安物の婚約指輪を手にカルロス邸へやってきたブランドン。暗く静まりかえった邸内から深い息が聞こえてくる。カルロスが座っている。
「きみを待っていた。ルイーズの願いを叶えてやったよ」と言うのだが…。

 中学生の頃、短編集『切り裂きジャックはあなたの友』からブロックに入った身としては、どうしても短編作家のイメージが強い。軽妙かつ怖さが潜むストーリー、ゾクっとするオチ。職人芸という感じ。
 身体は美、心は醜の強欲な夫人、建前だけのエセ芸術家。身勝手な行動でストーリーを進めていく不倫カップルには、同情を寄せられない。読み手の感情は、自然と夫のほうへ向くけど、インポテンツなミノタウロスときてる。
 この宙ぶらりんな気持ちが、ラストの1行にシュルっと吸い取られてしまう。予想できるオチであっても怖さを覚える。恐れ入りました。

【サイト登録日】2008年9月21日 【ジャンル】サイコ・異常心理・クリスマス

▽メモ1原書では16番目に掲載。