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『闇の展覧会[新装版]1 敵』文庫表紙

『闇の展覧会[新装版]1 敵』文庫表紙

マーク・インゲストリ−客の物語

Mark Ingestre: The Customer's Tale,1980

作:ロバート・エイクマン(真野明裕訳)

Written by Robert Aickman

短編41ページ/『闇の展覧会 敵』所収/ハヤカワ文庫NV

Dark Forces,1980

死神が棲む床屋で体験したエロスと死の饗宴
スィーニー・トッドを別視点で描く古典調ホラー

 エレファント劇場で出会った老人が語る不思議な体験談。興味をおぼえた新人新聞記者は、さっそく速記を採っていく…。
 雑多な小店が軒をつらねていた活気あふれるフリート・ストリート。
 散髪か、瀉血のためか、理由は覚えていないが、床屋に入ったわしは、気がつくと地下室のような場所で目覚める。催眠術にかけられたのかもしれない。
 ひどく暑い部屋で、なにかが焼けている匂いがする。目を上げると女王様然とした女と少女が自分を見つめているではないか。
 母以外の女性と親しんだことのないわしは、女が矢継ぎ早に浴びせてくる質問に答えるだけで精一杯。すると少女がわしの服を脱がせはじめた。全員が全裸になると、チクチクする毛と皮の寝床で初めての女性体験をした。思春期のわしに快楽への抵抗ができたはずもない。しかし、女がナイフを持ち出したのを見て…。
 この老人が語ったこと、記憶の混濁が生んだ妄想か? それとも真実か?

 19世紀イギリスを代表する殺人鬼をいえば、ジャック・ザ・リッパーと殺人理髪師スィーニー・トッド。ジャックは実在していたけど、トッドは実在した証拠が見つかっていないため、都市伝説だろうといわれている。
 19世紀に発表されたトッドの物語を再構築した本作は、4つの点で工夫を凝らしている。トッド視点から客視点にして主人公をスイッチ。もっとも邪悪なのはパイ焼き夫人だと断じる。「当事者の回顧」という古典怪談の王道パターン。この形式の古さを補うためか、エロティックな描写を盛り込んでいる。怪談の名手といわれるエイクマンだけど、本作では筆を弄しすぎたかな。

【サイト登録日】2008年9月23日 【ジャンル】殺人鬼

▽メモ1原書では6番目に掲載。

▽メモ2マーク・インゲストリ

トッドの娘と恋仲になる船員の名前。原典未読、舞台未見ゆえ、これ以上は書けません。

▽メモ3瀉血(p108)

血を抜き取ることで症状を改善させる治療法の一種。