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『闇の展覧会[新装版]1 敵』文庫表紙

『闇の展覧会[新装版]1 敵』文庫表紙

The Enemy,1980

作:アイザック・バシェヴィス・シンガー(真野明裕訳)

Written by Isaac Bashevis Singer

短編17ページ/『闇の展覧会 敵』所収/ハヤカワ文庫NV

Dark Forces,1980

一目見て察する…こいつはオレの敵だ
身に覚えのない憎悪に翻弄された男の奇妙な話

 大戦下、迫害を逃れてポーランドからニューヨークに渡った作家のわたし。
 図書館でオカルト学の本を閲覧していると、男が声をかけてくる。「オレを忘れてしまったのか? チャイキンだよ」。風貌がすっかり変わってしまったが、かつてワルシャワの某イディッシュ語新聞で文芸欄を担当していた友人だった。
「意見を聞かせてほしい」と頼まれ、図書館からほど近いカフェに腰を落ち着けたわたしたち。そこで懐疑論者であるチャイキンが奇妙な話を始める…。
 ようやくニューヨーク行き船便チケットを手に入れた。食堂に行くと自分専用の席があり、担当給仕は大男のアルゼンチン人。見た瞬間「こいつは敵だ」。
 12日間の航海中、憎悪むき出しのひどいイヤがらせを受け、満足に食事を採れなかった、とチャイキン。
 ニューヨークまで間近となった夜、デッキで給仕と取っ組み合いになるが、「ヤツは、ゴムか、ゼラチンか、羽根のようだった」。この憎悪者は何者なのだ?

 本サイトで取り上げる2人目のノーベル文学賞作家(1人目は、キプリング『イムレイの帰還』)。権威に気圧されるわけじゃないんだけど、それでも襟を正して読んでしまった。意識しすぎ。
 身に覚えのない憎悪にさらされ、その仕打ちとして「食事」がターゲットになるあたりが怖く、本能的なイヤらしさがある。食べなきゃ死んじゃうし。
「星気体(p193)」という生命と霊魂の中間の存在がほのめかされているものの、一概に超自然ホラーと割り切れない作品。明日我が身に降りかかっても、という普遍的な不安と恐怖がたっぷりと練り込まれている。お見事。

【サイト登録日】2008年9月25日 【ジャンル】幽霊・ゴースト・幻視

▽メモ1原書では3番目に掲載。

▽メモ2ノーベル文学賞受賞者

作者はイディッシュ語作家にとして初のノーベル文学賞受賞者。Wikipedia:イディッシュ語