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『闇の展覧会[新装版]1 敵』文庫表紙

『闇の展覧会[新装版]1 敵』文庫表紙

夏の終わるところ

Where the Summer Ends,1980

作:カール・エドワード・ワグナー(真野明裕訳)

Written by Karl Edward Wagner

短編57ページ/『闇の展覧会 敵』所収/ハヤカワ文庫NV

Dark Forces,1980

荒れ果てた土地を浸食していく葛の蔦
虎視眈々と獲物を狙う魔物の恐怖

 テネシー州ノックスヴィル。優雅な繁華街だった大通り(グランド・アヴェニュー)は荒れ果て、葛の蔦が空き地や廃屋を埋め尽くす勢いで繁茂している。
 大学生マーサーは、その地で骨董店を営むグラディ老人を訪ねる。市当局から廃屋処分を委託されているグラディは、売れそうな物を運び出し、廃屋は日払いの下働きモーニーに処理させている。そのモーニーを見かけなくなった。
 安ワインを持参してグラディのご機嫌を伺うマーサー。彼の狙いは、上等なマントルピースだが、老人は言い値の150ドルを譲ろうとしない。
 葛の蔦。マーサーの住むアパートの壁にも這い伝わっていた。同居するガールフレンドのリンダも気味の悪さを訴えるが、マーサーには転居するお金がない。
 そんなある夜、グラディ老人から電話が入り、「50ドルでマントルピースを売う。現金で今すぐ引き取りに来るのが条件だ」。
 夜道を急ぎグラディ家に着いたマーサーは、恐るべき秘密を目撃する。

 荒れ果てた風景、1軒の家、暗闇にひそむ怪異。現代を舞台にしていながら懐かしい雰囲気に満ちた作品。葛の蔦を根城にする魔物たちをハッキリと描かない手法を用いており、それが薄気味の悪さを引き立てている。
 魔物が住む葛は、日本からアメリカに持ち込まれた山の魔物という設定。作者が日本のなにを参考にして創作したのだろう。魔物の頭蓋骨の描写からすると、江戸時代にねつ造されて海外にも持ち出された人魚ミイラ(猿や魚の剥製を組み合わせて作られた)あたりが思い浮かぶ。その容姿に海外でおなじみの邪悪な妖精ゴブリンをミックスさせたのかも。作者は故人なので永遠の謎。

【サイト登録日】2008年11月13日 【ジャンル】魔物・モンスター

▽メモ1原書では7番目に掲載。

▽メモ2魔物の描写(p350,p355)。

「額の高い頭蓋骨は、握りしめた拳骨くらいの大きさ。鋭い歯を持つ鼻口部が突きだしている(p350)」「小さな緑色をしており、手当たり次第に喰い荒らす(p355)」

▽メモ3葛について

日本からアメリカに持ち込まれた葛は、生長が早く、広範囲に渡って繁茂しているため、現在は有害植物に指定。英語名の「Kudzu」は、日本語に由来しているそうです。クズ - Wikipedia