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『闇の展覧会[新装版]2 罠』文庫表紙

『闇の展覧会[新装版]2 罠』文庫表紙

ゲロンチョン

The Peculiar Demesne,1980

作:ラッセル・カーク(広瀬順弘訳)

Written by Russell Kirk

短編61ページ/『闇の展覧会 罠』所収/ハヤカワ文庫NV

Dark Forces,1980

純粋なる悪の魂の術中にはまった男の危機
闇を秘めた英雄アーケイン活躍の一篇

 アフリカのハムネグリで絶大な権力を握る無任所大臣マンフレッド・アーケイン卿は、ヨーロッパ的な教養と宗教観を持ち、高潔な人柄で知られていた。
 幾多の危地を乗り越えてきたアーケイン卿を今なお恐怖させる体験とは…。
 奇怪な薬物で5人を殺した罪に問われた自称司祭長の老人ゲロンチョン。司法の仲介に立ったアーケイン卿は、一時的に彼の身柄を預かることになる。
 世界各地から集めたゲロンチョンの資料には、数え切れないほどの逮捕歴がありながら一度も罪に問われていないことがわかる。調書に添付された写真や指紋がすべて異なっているとは、どのようなペテンをやってのけたのだろう。
 ゲロンチョンは生粋の悪が持つ輝きに満ちていた。自分にも些少ながら邪が潜んでいることを自覚するアーケイン卿は、その輝きに惹きつけられる。
 しかし、ゲロンチョンは本性を露わにするや「おまえを身体をよこせ!」と襲いかかってくる。彼こそ他人の肉体を奪って生きながらえてきた魔術師なのだ。

 タイトルの元になっているのはT.S.エリオットの詩、とは言うものの読んだことがない。詩は高度な読解力というか、言葉に対する感受性と想像力が不可欠というか、とにかく自分の頭では遠く及ばない、という諦めがある。
 それはさておき、アフリカが舞台だけど、一般的なアフリカ像と異なる風景や人物が描かれており、物語に入り込むのは難しかった。一方でゲロンチョンの魂が棲む荒漠とした死の街の描写はなかなか怖かった。著者は有名な政治理論家らしいけれど、一方で作家としては数々の怪奇小説を物しており、かのアーカムハウスからも出版している。なかなか興味深い人物だ。

【サイト登録日】2011年6月15日 【ジャンル】悪魔 魔術師 甘言 死の街 憑依

▽メモ1原書では14番目に掲載。

▽メモ2ゲロンチョン(Gerontion)の原詩。◆Eliot: Gerontion

▽メモ3ゲロンチョンの語意?

 古代ギリシア語を用いた造語で「小さな老人」という意味らしいのですが、それに反論する意見もあって、真相は不明です。

▽メモ4ハムネグリは架空の国(外務省のアフリカ地図に記載なし)

▽メモ5無任所大臣(p149)

 各省大臣として行政事務を分担管理しない国務大臣の俗称。「広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店」

▽メモ6本作の主人公アーケイン卿が活躍する他の作品

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