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『闇の展覧会[新装版]2 罠』文庫表紙

『闇の展覧会[新装版]2 罠』文庫表紙

王国の子ら

Children of the Kingdom,1980

作:T・E・D・クライン(広瀬順弘訳)

Written by Theodore Eibon Donald Klein

長編130ページ/『闇の展覧会 罠』所収/ハヤカワ文庫NV

Dark Forces,1980

有史以前から存在する不死の者の暗躍
現代ニューヨークを舞台にしたクトゥルー神話

 大病を患った祖父を介護施設へ入居させた私と妻のカレン。
 暇があると施設を訪れるようになった私は、祖父と親交を結ぶピスタチオ神父を紹介される。コスタリカのパライーソから渡米したという神父は、つたない英語で「コスタリカが人類発祥の地である」という持論を披露する。人間の女性を誘拐して子孫を増やそうと企み、神によって3回の罰を与えられた異なる人類「三たび呪われし民」。不死身の肉体を持つ彼らから逃れるため、人間は全世界へと散っていったのだ、と説く。
 大学で教鞭を執る私にとって、にわかに信じられる話ではなかったが…。
 ある時、付近一帯が大停電となり、闇に沈んだ街からは店舗を破壊する音と怒声が聞こえるばかり。その混乱と暗闇に乗じてニューヨークの地下から這い出してきた謎の生物たちは、老若かまわずに女性たちをレイプしていく。
 自宅にいた妻カレンさえも例外ではなかったのだ!

 マッコリーの著者紹介文には「ラヴクラフトに深く傾倒した作家」とある。たしかに本作はクトゥルー神話3つのお約束(人類よりも古い存在、謎の書物、薄らぼんやりと見えてくる怪奇の正体)を配す。その意味では、神話の一篇として読めなくもない。
 個人的に"ニューヨーク=ヘルズ・キッチン"であり、夜出歩けばパンツまで盗まれるくらいのイメージを持っている。本作は70年代ニューヨークが舞台であり、人種差別を強く押し出しているため、そこに描かれる治安の悪さ(とくに大停電のシーン)が怖く、怪異はやや奥に引っ込んでいる印象を受けた。

【サイト登録日】2011年6月21日 【ジャンル】ニューヨーク 地下 モンスター 太古 クトゥルー

▽メモ1原書では10番目に掲載。

▽メモ2本サイトでは「長編」に分類(100ページ超のため)

『闇の展覧会』では『霧』に続いて長い作品。

クトゥルー クトゥルフ クトルー ク・リトル・リトル ラブクラフト ラヴクラフト

▽メモ3トマス伝福音書、新資料に基づく改訂評釈書(p290)

「トマス伝福音書」に独自の解釈を与えて神父が執筆した本。スペイン語版、ラテン語版、ポルトガル語版があり、英語版の翻訳出版をするために渡米。神父いわく「神に御心で私は長生きをしたので、世界の七つ言葉で出版されるのを見ることができるかも(p291)」と熱意を語っている。

▽メモ4神が与えた三たびの呪い(p323〜p325)

(1)種族の女性を不妊化。(2)男たちのペニスを勃起不全。(3)盲目にした。

▽メモ5三たび呪われし民の描写

 白人の少年のような体格(p369)。目は空洞で眼底には赤い玉が光り、海の生物の吸盤を思わせる赤く丸い口(p382)。

 この「白人」とは人種ではなく、アルビノを指しているような気がします。『ダンウィッチの怪』でヨグ=ソトホースを産み落としたラヴィニアを思い出しました。